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リービッヒ冷却器の正しい使い方について

リービッヒ男爵が生きていたら、悲しむか、怒るか、あるいは馬鹿々々しくて笑いだすかもしれません。

冷却器(コンデンサー)」なのですから、「冷却効率」を考えて設計されていることを忘れてはいけません。冷却器の中には「水(冷媒)」が「満たされている」ことが当たり前で、「冷却水を上から入れたら、下から流れ出す」は何の説明にもなっていません。間違った使い方にコメントをしても意味がありません。それと、冷却水(水道水)もタダではありません。やたらジャージャー流せばよいというものではありません。必要最低限の流量に調節します。すると、実際にやった経験がある人ならわかると思いますが、冷却水は下の方が冷たく、上の方はそれなりに「ぬるま湯」になっています。全体が冷たいようなら水の無駄遣いです。

冷却器の原理を理解するために必要な最低限の基本事項を3つ抑えておきましょう。
1.流れてくる熱い「蒸気」と熱交換するので、冷却水は「温められる(温度が上がる)」
2.温められた水は、「上に移動する」
3.高温になっているガラス器具を急冷すると、破損する恐れがある。

仮に、上から水を流しても「水が溜まるように」工夫したとしても、上記の3つを考えたらダメな理由が明らかです。

1、2から、温められた水は上に溜まったままで、効率よく排出されません。
3から、冷却器が破損する恐れがあります。

尚、熱交換理論における「向流(高温流体と低温流体を反対向きに流す)」という点においても、リービッヒ冷却器の正しい使い方は「冷却効率」がよいのです。この理論についてはここでは省略します。

以上のように、冷却水を「下から流す」理由は、冷却器の原理に沿った「効率よく冷却するため」に必要なことであり、決して「水を満たすため」ではないのです。

ネット情報の多くは、得意になって「上から流すと水が溜まらない」と説明しているようです。そのような子供だましの説明はすぐやめるべきです。最初に述べたようにリービッヒ男爵が生きていたらどのように思うのでしょうか。

リービッヒ冷却器
温度分布を色分けしましたがあくまでイメージです。
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